子ども・子育て新制度特集 〜保育園編〜

「子ども・子育て支援新制度」(以下、新制度)が27年4月からはじまります。待機児童の問題をはじめとする子ども・子育ての課題を解決するために、消費税の増収分から毎年約7,000億円の財源が当てられるとのこと。保育や教育の環境がどう変わるのか。働くママの気になるところを、実施主体でもある練馬区に取材しました。

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Q1.練馬区の待機児童は解消されるの?

これまでの待機児童対策では「待機児童数に応じて保育の場を増やす」という方策がとられてきました。しかし、働きたい親のニーズがそれを上回り、待機児童数を思うように減らす事ができませんでした。そこで新制度からは、ニーズを調査し「量の見込み」を正しく計算することになっています。また、保育の場を増やすために、国は認定子ども園の普及、地域型保育事業(小規模保育事業や家庭的保育事業等)の創設を掲げています。練馬区はこれらにより「量の見込み」にみあう定員を確保できているのでしょうか?

A.保育ニーズに応じた定員増を行い、待機児童ゼロを図ります。

区では、待機児童対策を最重要課題と位置づけ、今年度は、過去最大となる1,300人規模の保育園等の定員拡大を図り、待機児童ゼロを目指しています。この4月には、私立認可保育園を15園(認証保育所から認可保育園に移行する3園を含む)開設します。また、新たに区の認可事業となる小規模保育事業を5か所、事業所内保育事業を2か所で開始します。

さらに、長時間(11時間)の預かり保育を行う私立幼稚園を「練馬こども園」と認定し、3歳以降は預かり保育のある幼稚園に通わせたいというニーズにも応えていきます。(なお、練馬区内に現在5園ある認定こども園は、4月から2園となる予定です)。

区では現在、計画期間を5年間とする「練馬区子ども・子育て支援事業計画」を策定中です。その中で、教育・保育の量の見込みとその確保方策をお示しし、取り組んでいきます。

~ねりこそ@なび班ママより~

26年4月1日時点での練馬区の待機児童数は487名(東京都福祉保険局発表資料)ですから、1300人規模という定員拡大は新制度下での待機児童対策への意気込みが感じられます。

Q2.申し込み方法は変わるの?

新制度からは保育を利用したい場合には、「保育認定」を受ける必要があるそうですが、申し込みはどのように変わるのでしょうか?

A.申し込み方法は変わりません。選択肢が広がります。

練馬区では支給認定申請書と保育園等利用申込書を同時申請できるよう、1枚で兼用できるようにしています。そのため、申し込み方法は従来とほとんど変わりありません。この申し込みで保育の必要性が認定されれば、支給認定証が交付されます。
変更した部分としては4月入園からは、希望園の記入欄を10園から13園分に増やしました。これは地域型保育事業が加わり、選択肢が増えたためです。

また、認定こども園となる石神井南幼稚園、南光幼稚園では申し込み方法や締め切り日が異なりますので、保育課入園相談係または各認定こども園へお問い合わせください。

 

Q3.保育の質は良くなるの?

諸外国に比べ子ども一人当たりの保育のスペースが狭いなど、日本の保育の質改善は課題となっています。そんな中、新制度では保育の質も向上するとのこと。練馬区では具体的にどのような改善プランが準備されているのでしょうか?(職員の配置、職員の処遇改善など)

A.保育施設や事業者に対し、必要な支援を引き続き実施します。

新制度においては、私立認可保育所職員の処遇改善に充てるための費用が確保されるなど、私立認可保育所に対する委託費の充実が図られます。練馬区ではこれに加え、国の基準を上回る職員配置に対する補助を行うなど、保育の質の向上を引き続きサポートしていく予定です。
認可保育所以外の保育施設については、職員の処遇改善事業や保育士資格取得支援事業などで、保育従事職員の定着や保育の質向上への取組を支援していきます。

 

Q4. 小規模保育や保育ママなども認可事業になるって?

これまでもあった保育ママや小規模保育事業などの地域型保育事業ですが、新制度下で認可事業となることで、申し込み方法などはどのように変わるのでしょうか?

A.給食や3歳以降の通い先などの課題も徐々になくなります。

これまで保育ママや小規模保育事業に申し込む場合には、施設に1件1件問い合わせて空き状況を確認したり、申込書類を施設ごとに提出したりする必要がありました。しかし、今後は区のホームページで空き状況を確認することができ、申込書類の提出は区の窓口1か所に提出すれば済むようになります。給食も徐々に開始され、お弁当持参の必要がなくなっていきます。

さらに、3歳以降は卒園後の通い先として「連携施設」を設けるので、改めて施設探しをする必要もなくなります。ただし、給食開始と連携施設の設定には5年間の経過措置があるのでご注意ください。

~ねりこそ@なび班ママより~
誤解されがちなのは、認可事業だから認可保育園と同じになると思われがちなこと。保育ママは年間20日までの休日などが認められていますし、小規模保育事業も延長保育は各施設により異なります。入ってみてから“思っていたのと違った”とならないためにも、必ず見学や説明を受けてから申し込みを行ってくださいね。

 

Q5.保育料は変わるの?

保育料についてはどのような変化があるのでしょうか?

A.地域型保育事業の保育料が所得に応じたものへと変わります。

新制度では、世帯所得に応じた負担に統一されます。つまり認可保育園ではこれまで通り。地域型保育事業については、これまで一律でしたが、それぞれの家庭で保育料が異なるようになります。保育料の決定は、入園後となります。

 

Q6.認証保育所はどうなるの?

東京都が独自に設け低年齢児童を中心に保育を必要とする児童を受け入れている認証保育所ですが、新制度には含まれていません。すべての子どもを対象とした新制度なのに、例外となってしまっている認証保育園所はどうなるのでしょうか?

A.新制度対象ではないのでこれまで通りです。

認証保育所は東京都独自の保育所施設のため新制度に含まれていません。東京都はこれまで通りの支援をしていく方針を示しています。練馬区としても新制度下に入れてもらえるよう国に働きかけています。また認可保育所等に移行を希望する施設には改修費の助成等の支援をしており、27年4月に3園が認可保育所、1園が小規模保育事業となる予定です。