【出産体験談】予定帝王切開

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2009年に第二子の女の子を予定帝王切開で出産したH.F.さんの体験談です。

入院までの経緯

長女が1歳5ヶ月の時、次女の妊娠が判明しました。当時住んでいた静岡でパートを始めたばかりだったので、予定外の妊娠に最初は戸惑いましたが だんだんと喜びが湧き上がってきました。子どもは複数!と思っていたもので。前回が帝王切開だったための、2人目も帝王切開でした。

実家の母が病弱なため帰らず、静岡県東部の中核病院を予約しました。選んだ理由は、スタッフの数が多くNICUまではないものの、「母体と赤ちゃんのもしも」に対して、他の産院よりしっかりしている印象だったためです。医師の診察後「助産師外来」という所で妊娠の経過から出産準備までを助産師がみっちり説明してくれました。2人目の私はことさら聞くこともなかったのですが、初産っぽいママさんは30分位たっぷり話し込んでいたようです。忙しい現場のはずなのに本当によくやってもらいました。

 

次女の妊娠、出産は格段に気楽なものでした。 一通り経験していたおかげで母乳や育児グッズの心配はなし。一番の懸念は、10日間の入院中の長女の世話と、家事のやりくりでした。 入院前日から名古屋の義理両親に来てもらい、日中長女は保育園へ預ける予定でしたが、両親も仕事をしていたため居られるのは1週間。 残りの3日を、当時は家事力が限りなく0に近かった夫が1人でこなさねばならなかったのです。 まあ、心配してもきりがないので、家中の掃除と、両親用のシャンプーやタオルの用意、長女の洋服の引き出しのラベル付けや 保育園に必要なもののリスト作りなどを終え、手術の前日に入院しました。

あっという間の手術

入院後は荷物を整え、最後の診察と麻酔の説明などを受け、落ち着かない気持ちで就寝。 もともと寝付きが悪い上に緊張もしていたので日付が変わるまで寝付けず、やっと眠りがやってきた午前1時ごろに、友人から 「明日手術だっけー?マジがんばってね」というメールをもらい、再び眠れなくなり、嬉しかったですが、ちょーっと腹がたちました(笑)。 翌日、手術は午後1時ごろだったように記憶しています。1時間くらい前に夫と長女、両親が登場。ストレッチャーに乗せられた私と手術室の前まで来て、淡々と励ましてくれました。

手術室は広くて薄ら寒く、緊張は高まるばかり。そんな中、準備を整えた恰幅のいい担当医(ママさん先生)が「よろしくお願いしますねー」とにっこりしてくれました。 ホッとしたのもつかの間、先生があれこれ指示出しを始め、現場がざわつき始めます。 海老のように丸くなるよう指示され、脂汗の背中(背脂!)に麻酔を打たれました。 痛みではなく、ググッと押されるような感覚でした。麻酔が効いたのを確かめると、胸から下をカーテンのようなもので仕切られ、「じゃ、始めますよー」と手術開始。もちろん痛みはないのですが、局所麻酔なので意識はあります。器具のカチャカチャ音が聞こえ、赤ちゃんを出す時にお腹を引っ張られる感じがしました。

はっきり言って、生々しくて怖いです。

「内臓も出さないでー」などと下らない心配をしていると、まもなく「フンギョー」という懐かしい声。 「元気な女の子ですよ」と、あっという間に赤ちゃんを見せてくれました。その後、お腹を縫って手術は終了。正味20分位のことだったと思います。早いっ!そして全てが淡々と、あっさりと済んだことに拍子抜けしていました。

 

赤ちゃんはきれいにされて保育器の中へ。夫と長女、両親は保育器越しの初対面。夫と義理の母は写真をパシャパシャ撮りながらどちら似だろうかとのんきに話していました。義理の父は長女を抱っこしながら、「ほら妹が生まれたんだよー」と一生懸命説明してくれていました。 私は、ひとまず自分と赤ちゃんにトラブルもなく出産を終えられて安堵していました。1人目の緊急帝王切開は動揺が止まらなかかったので。

ちょっと痛い術後

帝王切開は産んだあとがちょっと痛いです。後産と傷の痛みがダブルでやってきます。 特に寝た状態から起き上がる時の腹筋と、お手洗いでしゃがんだ時がきつかったです。 3日くらいから楽になりますが、1週間位は腹筋に力を入れるのがしんどいです。 それでも翌日からは歩くように指導が入り、一番奥の病室から授乳室までがんばって歩きました。イテテ。

白いタオルに包まれた次女を初めて抱っこして、身体がふわっとするような幸福感を感じた時は我ながら驚きました。赤ちゃんがむせるほど母乳も出て、最初の出産で感じた不安や戸惑いは何処へやら。経験がものを言う世界なのですね。 と同時に、それまで赤ちゃん赤ちゃんしていた長女がとても大きく見え、新しい家族に健気に向き合おうとしている様子がいとおしく感じられました。

入院中は義理の両親が一通りの家事をこなし、「空白の3日間」のために料理をたくさん作り置いてくれました。 夫と長女だけになると、夫はその料理を温め、長女を保育園へ連れ、仕事(にならなかったようでしたが)を早目に切り上げ、 私と次女を見舞い、泣く長女をなだめすかして家に帰り、食事の用意と入浴と洗濯をこなしていたようです。よく、がんばりました!もうやりたくないと言っています。

出産してつくづく、色々な人の助けで自分は生かされているのだと感じるようになりました。 家族や親戚はもちろん、愚痴を聞いてくれる友人から、ベビーベッドを貸してくれた社宅のママ、駅の階段でベビーカーを持ってくれた 一見こわそうなお兄ちゃんまで、改めてみんなにありがとうを言いたいです。 そのお返しは、子どもを幸福の中で育てることと、私が手助けできることをやることかなと、思っています。