【出産体験談】いきなり帝王切開

総合病院|帝王切開|1人目|男の子|立ち会い有|里帰り出産


2007年に第一子の女の子を里帰りで出産したH.F.さんの体験談です。

破水から始まった陣痛

当時は静岡県に住んでいましたが、札幌の実家で里帰り出産をしました。つわりも出血もなく、里帰りまでの妊娠の経過は順調。しかし里帰り翌日の検診で切迫早産と言われ、2週間入院していました。

退院後は、だましだまし10ヶ月目に入り、時たまお腹に張りを感じるものの、いつ生まれてきても大丈夫な安心感の中のんびりと「Xデー」を待っていました。

6月9日早朝、自宅で就寝中「バチッ」という音とともにジャーっと破水。「おしっこのように少量の破水であれば、破水と気づかないので要注意」と聞いていたのですが、量といい、においといい、「こりゃどうみても破水だ」というほどあからさまな破水でした。「いよいよ始まるぜ」と緊張はしましたが、陣痛もまだのせいか、案外落ちつてシーツをはがしたり、着替えをしたり、静岡にいる夫に電話したり。朝4時。電話口で夫に「よろしくお願いします」と言ったらしいですが、覚えていません。落ち着きを装ってみたものの、やっぱり変なテンションだったかも。父の車で産院へ。

順調だった分娩台までの道のり

朝7時くらいから規則的な、生理痛の王様みたいな痛みが始まり、陣痛室のベッドの柵につかまっていきみをのがしました。痛いのをやり過ごすことがこんなに大変なことなのか、こればっかりは経験しなければわからないものですね。娘の初産に戸惑い、とんちんかんな行動をとる母親に当たり散らしながら(ごめん母さん…)約3時間後、子宮口が十分に開いたので陣痛の合間に分娩室へ。「もう好きなだけいきんでいいからね」という周りの言葉を頼みに、腰を抱えて移動しながらも心は軽いガッツポーズ。まもなく赤ちゃんに会えるのだと思うと俄然、頑張ってやろうと言う気になりました。

急に決まった帝王切開

しかし、そこからが、どんでん返し。

いきめども、いきめども出てこない。顔を真赤に「ヌムー」といきむのですが、この期に及んで、骨盤が赤ちゃんの頭より狭く、赤ちゃんが出られないこと(児頭骨盤不均衡)かもしれないとのこと。X線検査の前に陣痛が来たのでわからなかったのです。促進剤を打つも怒涛の痛みが押し寄せるばかりで、出てこない。2時間粘ったところで残された選択、緊急帝王切開をすることになりました。朝イチ飛行機でやって来た夫も立ち会い、先生の説明を聞いて、書類にサインして(分娩台で!)

その間も促進剤が効いているため襲ってくる陣痛の虚しいこと。順調に聞こえる赤ちゃんの心音だけが頼みの綱という感じでした。朦朧として手術室に運ばれ、麻酔を打たれたあとは痛みがスッと引き、「やっと楽になれた」とヘロヘロして我が子の誕生を迎えました。

帝王切開になったのは最初はショックでした。傷が痛い中で、何が悪かったのだろうかと反省したり、「最低3人は産みたかったのだけど、叶わなくなるな」など考えると、ちょっと、いや、かなりブルーになっていました。でも母親がぽつっと、「これが江戸時代だったら、アンタもお腹の赤ちゃんも死んでいたんだよ」と言われてはっとしました。

女性にとって妊娠・出産は人生の一大イベント。ついオリジナリティを求めたり大きな思い入れをしてしまいますが、まずは安全に、母親も赤ちゃんも無事なことが大事なんだなと思いました。